校長挨拶

 すべての生徒のWell-beingの実現に向けて 

 今年度着任しました校長の 矢崎 芳朗 です。生徒の皆さん、そして保護者・地域の皆様、どうぞよろしくお願いします。

 4月8日には定時制の始業式、13日・14日には通信制の始業式が行われ、いよいよ郡山萌世高校の令和7年度がスタートしました。

 また、4月9日には定時制の、20日は通信制の入学式が行われ、定時制、通信制とも昨年度より多くの仲間を本校に迎えることとなりました。ここ数年、本校を志望する生徒は定時制、通信制とも増えており、特に定時制・昼間主コースでは、久し振りに各クラス40名の生徒を迎えることができ、校内もこれまで以上に活発で賑やかな雰囲気に包まれています。

 また、転入生・編入生の皆さんにとっては、新しい環境での学びがいよいよ始まります。約30名の科目履修生の皆さんにつきましても、是非本校での学びを充実させていただきたいと思います。

 始業式の校長挨拶、入学式での式辞の中で申し上げたとおり、一人一人が、今年度、自分自身の「こうなりたい」「こう在りたい」を実現するため、しっかり「心の第一歩」を踏み出して欲しいと思います。

 さて、本校が県の個別支援教育推進校の指定を受けて4年目を迎えます。この事業は、開校以来の本校の基本方針「一人一人を真に大切にする教育」と軌を一にするものです。定時制昼間主コース・夜間主コース、通信制それぞれに配置している個別支援教育コーディネーターを核とした組織体制のもと、本事業の特色の一つであるNPO「こおりやま子ども若者ネットワーク」とのコラボによる「萌世カフェ」を始めとする取組を、更に充実させてまいります。

 また、昨年度からは、文部科学省から「DXハイスクール」の指定を受け、デジタル人材の育成のみならず、DX事業とのコラボによる個別支援教育の更なる充実を目指しております。2年目となる今年度は、「DXルーム」の設置により多様な学習機会や学習方法を確立するとともに、「eスポーツ愛好会」の創設により生徒が楽しみながら取り組む主体的活動や共有体験の機会を充実させてまいります。

 以上、今年度も、本校教職員のこれまでの経験や知見を活かしつつ、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係機関との連携を更に深めながら、個別支援教育の更なる充実とともに、すべての生徒のWell-beingの実現に向け取り組んでまいりますので、関係の皆様には、引き続き御指導・御支援を賜りますようお願いいたします。

    2025年度  学校経営・運営ビジョン.pdf

矢崎芳朗(顔のみ) 

 令和7年4月

   郡山萌世高等学校長 矢崎 芳朗

郡山萌世 校長雑感

手話

2020年8月27日 15時45分

本日の毎日新聞の一面に『会見に手話通訳拡大』という記事が出ていた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、首長の記者会見に手話通訳を新たに導入する都道府県・市が増えているということであった。コロナ禍での情報を聴覚障害者に迅速に伝えようとするためであるが、収束後も継続していただきたいと感じた。東日本大震災でも問題となっていたが、障害者が災害弱者になってしまうケースが多い。弱者になる理由は様々あるが、情報が入手、伝達しにくいというのも、そのひとつである。

本校では、2年生、3年生が「手話」の講座をとることができる。このような特殊な科目を用意できるのも、単位制の高校である本校ならでは特徴であると考えている。では、なぜ「手話」の講座が開設されたのだろうか。生徒に社会貢献できる技能を身に付けさせてあげたいと思ったからではないかと考える。目指すべきは、豊かな社会であろう。その豊かな社会とは何か。経済が優先され、弱き立場の者が苦しむ社会ではないはずだ。豊かな社会とは、すべての人間が住みやすい社会であり、人間らしく生きられる社会だと思っている。

豊かな社会を創るために、日頃より生徒のイメージ力をより増大させたいと考えている。来年は、延期された東京オリンピックの開催となる。多くの外国人が来日することになる。来日した外国人が、郡山を散策するには何が必要かと想像してみる。多言語による地図づくりことも一つだろう。だが、ピクトグラムという発想はどうだろう。面白い。新たなピクトグラムをつくること自体がワクワクする。

以前、日本ボッチャ協会強化指導部長の村上光輝氏による講演を聞いたことがある。この講演の中で気になったことがあった。それは、障害者への接し方で、固定概念による配慮が迷惑になる場合も多々あるということだった。必要があれば助けを求めるので、すべての場面で車いすを押すことが親切になる訳ではないということである。このことは、国と国との交流に似ていると感じた。従来より、途上国への支援の仕方については議論が出ており、単にお金を与えたり、工場を作ったりすることではなく、人材の育成をすることが求められているといわれている。今何が必要なのかを相手の立場で考え、長期的な視野に立って支援をすることが必要なのではないかと考える。

豊かな社会を創るために、弱き立場だからこそ、一度躓いたからこそ、気付けるもの、できるものがあるのかもしれない。